アメリカ臨床研修入門


内科研修ガイド各論
Hitoshi Tomizawa, M.D.


恐怖のOnCaIlとNiqhtFIoat

研修のなかでー番嫌なものがOn CalIとNight Floatである。
州法により研修医の労働時間の上限が決まっているので
現在は、ICUを除き夜はNight FIoatが病棟をカバーすること
になっている。
Night FIoatは夜専門のチームで、夜の9時に出勤してきて、
朝の9時に去ってゆく、ドラキュラの様な人達で、やる
仕事はOnCallの時の夜やる仕事とー緒である。
しかし月に―度は、On Callの当番が病棟のイン夕ーンに
順番にやってきて、NiqhtFIoatのチームを週にー度開放
してやることになる。
この時は、朝の7時から翌日の昼過ぎまで30時問程ほとんど
不眠で働き続けなければならない。日本の当直と違って、
汗だくになって、くたくたになるまで働かされる。
朝から昼にかけては、上述のように、ラウンドをこなし、
処置やカルテ書きをし、その後はひっきりなしにERから入院
のBeeperがなる。病棟にもよるが、ー番忙しい循環器の病棟
ではー晩10人以上の入院が普通で、20何人なんて言うかわい
そうなインターンもいた。

ちなみに、私は日本から来た2か月目にー晩で17人の新入院
があった時は、もうすぐさま日本に帰りたくなった。
そして夜中になると決まって、病棟から、やれ患者が熱発
しただの、頭痛、胸痛、腹痛を訴えているとかいってBeeper
で呼び出される。時には、患者がベットから転げ落ちたから、
チエックして報告書にサインしろとか、輸血するから輸血部
まで行って取ってこい、などと使い走りのようなことまで
やらされる。

そして何と行っても夜の花は、Codeである。心肺機能の
停止した患者が、病棟で発見され、もしその患者が
DNR(DoNotResuscitate)でなけれぱ、Codeチームが呼ぱれる。
Code77やCodeBlueと言った全館放送がなされ、Beeperが
―斉になりだす。最初のうちは緊張するが慣れてくると、
もうお祭り騒ぎみたいなものである。病室にはインタ一ン
やレジデントだけでなく、麻酔科医、看護婦、呼吸器治療士、
ケース・マネージャー等でごったがえす。
指揮は上級のレジデントが取るが、後は、早い者勝ちである。
挿管したけれぱ、麻酔科医に横に立ってもらって自分で挿管
するもよし、セントラル・ラインを入れたければ、レジデント
に見てもらいながら試みる。しかし、決まって心臓マッサージ
のように体力勝負の仕事はインタ一ンに回ってくる。
このようにして心肺蘇生の方法を身をもって経験してゆくと、
数か月で、手技にも通達し、緊急時の対処の仕方も覚えてゆく。
アメリカでは、CPR(Cardiopulmonaryresuscitation)をするには
アメリ力心臓学会の発行するACLS(AdvancedCardiacLifeSupport)
の免許を持っていないといけない。これ
をもらうのには、約―週間の講義と筆記試験、それに実技試験に
合格しないといけない。

インターンの評価に続く


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