SCA  1997
米国心臓麻酔学会


Shinichi Goto, M.D. (Newsletter No.3) 

米国心臓麻酔学会
Baltimore

ボルチモアといえば大リーグ・オリオールズのホームタウンでも
あります。日曜の午後には、晴天のオリオール球場で鉄人リプケン
を目にする機会を得ました。また全米屈指と証われる国立水族館には、
世界規模で魚類が集められており、中でも世界中のクラゲの展示は
非常に神秘的で興味深いものでした。さらに学会の合問に、わが国
の心臓血管麻酔の父であられる藤田昌雄先生に、「日本の先生方、
ー緒に食事しよう」と気軽にお声をかけていただき、御馳走になり
ながら、かのロバート・マッキントッシュを乗せてアメリカ国内を
迷いながらドライブされた話など、楽しく聞かせて頂きました。
その時のメンバ―は、クリーブランド留学中の堀部まゆみ先生、
静岡県立こども病院の堀本先生、聞西労災病院からは林英明先生と
もうお―方、そして女子医大の野村実先生でした。

Johns Hopkins University

この旅のもうーつの目的は、ジョンズ・ホプキンス大学病院
心臓血管手術を見学することにありました。同大学のラボで勉強中
の富樫先生の口利きで、心臓血管麻酔チーフのナイハン先生を
ご紹介いただき、悔帽弁置換術を見学させてもらいました。
患者さんは相当大柄(125kg)黒人男性で、ワイヤを外し、
時間をかけて胸骨を切開したかと思ったら、大胆な手技で胸骨を
左右に押し広げ、開胸器を大きく聞いたのは圧巻でした(実は、
ああいった無理な開き方は、術後に肋間神経痛を起こしやすいの
ですが)。
癒着もひどかったようで、術者は相当苦労していました。麻酔は
比較的経験の浅いレジデントの女医さんが担当していたようですが、
ベースが心房細動の上にハイボボレミアを生じていて、頻脈で
しかも血圧が出せずにイライラしている様子で、私の方も思わず
手が出そうになるのを必死でこらえていました。手術室は意外な
ほど小さく、樫の木の開き戸が三枚付いていたのが歴史を感じ
させました。レジデントのそばには常にナ―スアネステティスト
がついていて、薬剤の準備や簡単な処置を全てやってくれ、
また経食道エコー専門のおじさん(輸床検査士のような方)がいて、
ー言頼めば見たい像をたちどころに出してくれる点はとても羨ましく
感じ、二人を日本に連れて帰りたい気分になりました。
ー方、隣室では既に冠動脈バイバス術が始まっており、人工心肺中
を見ようと思って執刀2時間後に中をに覗いたら、すでに終わって
いて誰もいなかったのにはびっくりしました。

最後になりましたが、研究でご多忙中にも拘わらず、快くジョンズ・
ホプキンス大学病院見掌をセッティングして下さり、その上、おいしい
シーフードを御馳走して下さった同大留学中の富樫先生、ならびに
富樫先生をご結介下さった富江先生に心からお礼を申しあげます。
 

最初のページに戻る


DocMD.com Home     DocMD.com Japan