日本人がもっとも苦手とするのが、LとRの区別と言います。
NY Timesの記事にこんなのがありました。
日本人観光客-Which way to Times Square?
アメリカ人-Turn left after the next light.
日本人-The next what? The next traffic signal or the next street
turning off to the right.
LとRの区別ができないために、信号lightと右rightがわからないと
いう訳です。
ピッツバーグの言語研究チーム(Dr. Jay McClelland)が最近明らかにした
研究によれば、この日本人の苦手を克服する方法があるということです。
新生児の脳は、あらゆる言語の音を受け入れられる状態にあります。ある一定
の音(言語)のInputが繰り返されると、細胞間のAxon形成がされ、その音を
特定するようになります。この言語学習のプロセスは、Hebbian Learningと呼ばれます。
日本人の子供は、日本語習得の課程で、LとRの区別を必要としないため、
そのための神経回路が作られないのです。Hebbian Learningは、言語領域の脳
において、早期に完成され、固定されてしまうので、10歳を過ぎると他言語を
学ぶのが難しくなるとされています。
しかし、この脳の言語領域にも可塑性があるということが、Dr. Jay McClellandら
の実験により、示唆されました。それは、以下のような実験です。
34人の日本語を母国語とする被験者を二群にわけ、一つ目のグループには、
Native Speakerが発音するL-wordとR-wordを識別を練習させる。第二群には、
LとR音の違いをコンピューターで誇張した音声を使って、L-wordとR-wordの識別を
練習させる。
この練習を合計60分してから、Native Speakerでも聞き取りの難しい、かなり
砕けたLとR音の識別を両群に試す。
(34人の被験者はすべて、この実験前には、LとR音の識別を苦手としていたと
いうことです)
結果は、LとR音の違いをコンピューターで誇張した音声を聞いていた群の
ほうが、難しいLとR音の識別を正確に行うことができるようになっていた。
この訓練を繰り返し行うことにより、固定されてしまうと考えられていた脳の
言語領域にも新しい音声認識回路を作りだせる可能性があるということで、
期待がもたれています。これをさらに発展させて、いわゆる固定観念の障害
(人種差別、強迫神経症)などにも応用したいと、Dr. Jay McClellandは、
述べています。(NY Times April 20, 1999を参考)
最後に、究極のLとRの混ざった文章で口馴らしをしてみてください。
Through three cheese
trees
three free fleas flew.
While these fleas
flew,
freezy breeze brew.
Freezy breeze made
these three trees
freeze.
Freezy trees made
these trees' cheese
freeze.
That's what made these
three fleas sneeze.
FOX in SOCKS(Dr. Seuss 1965, Beginner Books, A Division of
Random House, Inc.)より引用。